nomuran's diary

野村直之のはてな日記(後継ブログ)です

ハイスピード動画撮影用カメラの顛末

nomuran72008-12-21


Casioの EXILIM PRO EX-F1が開発中のうわさを聞いた一昨年暮れくらいから、肉眼ではとらえられない超高速の世界を安価に映せる民生用デジタル機器の登場にわくわくしていました。画素は少ないけれど、最高毎秒1200コマが撮れるF1は気になる存在でした:
http://dc.casio.jp/product/exilim/ex_f1/
 
 そして9月に、はるかに小型で、静止画の基本スペックが向上(光学20倍、とくに広角側が 26mm相当と大幅に拡大、900万画素へ)したHIGH SPEED EXILIM EX-FH20が登場:
http://dc.casio.jp/product/exilim/ex_fh20/
 
 これが最近5万円をきりはじめ、また偶然TVの科学番組を見た10歳の息子がハイスピード撮影をやりたくなったため、FH20購入にぐらりと傾きかけました。
 
 それを踏みとどまらせたのは、まずは微妙にでこぼこなF1とFH20のスペックの違いです。
F1のセンサーは600万画素ですが、動画はフルハイビジョンから1200万画素までと強い静止画の連写も最高60コマ/秒、とすごい。FH20は、224x52だかの横長低画素の1000コマ/秒なので結局このような固有機能は使わず、240か300フレームでVGAより1,2まわり小さいハイスピード撮影ばかり使うことになるのでは、と思えました。そうなると、超高速ではないので他メーカー、他機種でもあるかもしれません。
 それでもいいか(平凡なハイスピード&平凡画質だけに5万円でもいいか)、と購入に傾いたのは、Amazon.comで48000円と一瞬出たタイミング。24時間もたたないうに 58000円位に戻ったので、いったん気持ちをリセット。

 落ち着いて代案を探すと、FH20の720pと違ってフルハイビジョンのとれる、、というか、それが本来機能の三洋電機Xacti DMX-HD1010が54000円台になっているのを発見。「発見」というのは、300フレームのハイスピード動画が撮れることを今回知ったからです。
http://jp.youtube.com/watch?v=5ogT7hrd1QM
とりあえず撮影に習練し、親子の好奇心を満たすには十分です。
Xactiなら軽くて持ちやすく、そのわりにレンズとかは本格的。静止画はFH20に負けるけど、必要なら数世代前のデジ一眼かフィルム中判を持ち出せば良い。
 
 こうなると、他にも、地味にハイスピード機能が付いてるカメラかビデオカメラがあるのでは、との疑問が生じ、調べてみたところ、、なんと、【2年半前から所有しているHDR-HC3】というビデオカメラに、「なめらかスロー録画」という名で、240 fpsのハイスピード機能が付いているではないですか!
http://www.tkamiya.net/dv/archives/003553.html

まいりました。
連続3秒というのが難点ですが、遊びと、子供の理科実験用には十分です。

 HDR-HC3はテープ式のハイビジョンで、2年前には燦然と輝いていたのが、いまや、時代遅れ扱いです。滑らかに大型TVで観たり、ダビングが簡単便利という点では、まだXactiに負けない面もあるのですが。。

 ただ、1,2ヶ月ぶりに取り出してみたら、カセット装填、ローディングに難があり、修理に出すことに。「なめらかスロー録画」での初撮影は年明けにお預けです。

 1/8 にCasioのHigh Speed Exilim第三弾の発表が海外であるようですが、落ち着いてwatchできます。

 それにしても、デジカメは成熟商品の典型となりました。ハイビジョンビデオカメラにいたっては本格普及のはるか手前で、価格破壊が起こり、下記のような低価格モデルを、一部の使いこなせる人だけが導入している(専用オプションを買い揃えて本体の倍くらい払うか最先端高性能PC持った人だけが普通に滑らかなハイビジョンを楽しめる;残りは巧みに使いこなすベテランかマニア向け)、という少々異常な状況となっています。
ホーム > カメラ > ビデオカメラ > 三洋電機 > Xacti DMX-HD800
http://kakaku.com/item/20204310387/

 好意的にみると、ブルーオーシャン戦略を踏襲して、従来のビデオカメラの常識だった標準的機能、周辺的機能をばっさり削り、安価なハイビジョン撮影、というメリットに特化した、ということもできます。カシオのハイスピードカメラは、下手なデジ一眼を越える価格のコンパクトですから、M.ポーターの「低価格 xor 高機能化」でわかりやすく後者の「高機能化」を目指した、ということができます。それが、1/8 に発表のCasioのHigh Speed Exilim第三弾で、ブルーオーシャン戦略を反映した低価格&専門特化機能、かつ、あるカテゴリーの一般ユーザの大多数に受け入れられるヒットを狙えるかどうか、注目したい気になります。
 
 以上、本業の商品・サービス企画にとっても参考になりつつ、個人ライフでの発想の刺激ともなる機材選びをやってきて、授業料ゼロで、様々学べた顛末でした。ハイスピード動画撮影用カメラさまさまです。