nomuran's diary

野村直之のはてな日記(後継ブログ)です

【K.494a】51歳で祈念したことの1つが既にやられてた件

 信長の呪い「人間50年〜♪」をクリアして、自由に個人目標たてられるな、と思って、楽器演奏、古典音楽に関わった集大成として、いくつかのやりたいことを1つに統合したプロジェクト案がありました。

モーツァルトの未完のホルン協奏曲ホ長調K.494aを完成してプロオケとともに演奏すること

 容易ではありません。モーツァルトの定番のホルン協奏曲1番から4番までの4曲など、複合3部形式に緩徐楽章と6/8拍子で馬がギャロップするようなロンドというシンプルな形式でした。これに対し、494aは、古典音楽の粋、ソナタ形式を初めて導入。しかし、当時のナチュラルホルンではどうしても出来ない限界を回避するように書けなかったのか、単純に曲想に行き詰まったのか、1楽章の提示部の途中で絶筆になってました。最後10数小節はソロだけになり、3連符が4つ続いた小節で、ふつっと途切れています。
 
第一主題:(ホ長調の階名で)ドーミーソーーーミド、ファーーーレシ、ド、レ、ミー。
第二主題:(ホ長調の階名で)ミーファソラソソー-、ドシラソラファソ、

 完成していたらさぞかし美しい、まとまった作品になっただろう、と惜しまれて

 古くはバリータックウェル、最近では、ヨハネスヒンターホルツァーなどのホルンの超名人が、モーツァルトの絶筆になったところまでの演奏を録音していますが、彼らの録音も直筆スコア通り、上記の3連符の4つで突如途切れて終わっています。

2010年に一度かるく調べた際には、完成版はなかったようにみえました。
200数10年間、完成されずに残されていた作品。と、つい先ほどまでは思い込んでいました。


それが、胸騒ぎがして先ほど調べてみたら、youtubeに2011年に2つのバージョンがあるではないですか!
(1)スペインはグラナダのオーケストラ、Orquesta Ciudad de Granada Horn: Oscar Sala氏による演奏。彼が補筆したのでしょうか。ホルンの特性、得意な節回しのことがよくわかっている演奏です:
W.A.Mozart " Unfinished" Horn Concert K.v. 494a
Horn: Oscar Sala
Conductor: Josep Pons

(2)謎の演奏:
http://www.youtube.com/watch?v=DgtWxiTvTf8

 聞いてみればわかりますが、(1)>(2) と思います。

さて、目標が無くなってしまったのか? これが問題。
でも、ハードルが上がったのか下がったのかわかりませんが、ソナタ形式の本格的コンチェルトとして、優美な緩徐楽章(A-durかfis-mollか?)、そして、Allegroの終楽章(6/8でなく2拍子が良さそう)を完成する、という仕事はまだ残っているようです。

第一主題も第二主題もモーツァルトが残してくれていた1楽章と比べてなんてハードルが高い仕事でしょう。生まれ変わらねば無理〜という感じ。

でも、0.1ppmくらいの可能性を切り捨てずに、時々頭で1楽章を奏でたり、吹いてみたりしながら、もしも霊感が宿った暁には2楽章、3楽章を書きかけてみるかも。うーむ、でも、2度あることは3度ある、、というか、現時点で悠々自適の人だったり、スポンサーに依頼されたプロの作曲家が世界中で何人か手がけているかもしれず、、です。

でもでも、 1楽章も含め、yet another version があっても良いかもしれない。

何より、あと最低15年は、現在の腕前を維持・向上させるべく、超効率よくホルンの練習・演奏を続けることが大事、と改めて認識しました。