nomuran's diary

野村直之のはてな日記(後継ブログ)です

Obama政権のネット重視政策

クロサカタツヤさんがコメント付きで今朝のブログに日本語要約をのせてくれています。
http://japan.cnet.com/blog/kurosaka/2009/01/21/entry_27019617/
冒頭、FCC委員長にVC経験者が就任ということで、民主党でありながら規制緩和へ向かうのでは、という予測を示唆されているようでもあります。

・インターネットのオープン性を守る
・メディア所有携帯の多様化の促進
・主に無線技術による次世代ブロードバンド促進

 ただ、これらを大前提とした上で、個人情報保護や、子供への情報フィルタリングを強化することを具体的に推進しようとしているようでもあります。こちらの原文で確認してみましょう:
http://www.whitehouse.gov/agenda/technology/

・ Protect Our Children While Preserving the First Amendment: Give parents the tools and information they need to control what their children see on television and the Internet in ways fully consistent with the First Amendment. Support tough penalties, increase enforcement resources and forensic tools for law enforcement, and encourage collaboration between law enforcement and the private sector to identify and prosecute people who try to exploit children online.

・ Safeguard our Right to Privacy: Strengthen privacy protections for the digital age and harness the power of technology to hold government and business accountable for violations of personal privacy.

 これら2点は、先の2点とともに、メインタイトル「オープンで多様な端末につながるインターネットを介して完全(目一杯)で自由なアイディアの交換ができることを保証する」("Ensure the Full and Free Exchange of Ideas through an Open Internet and Diverse Media Outlets") というアジェンダの下に位置づけられています。

 個人情報やネット上の弱者の保護を強化することによって初めて、安心して自由なアイディア交換がフルスピードで実現する、というニュアンスです。個人的にも賛成ですし、日本の情報大航海プロジェクトは、既に2年前からそのようなコンセプトを打ち出しています。

 透明な政府、G2C、C2Gの改善、変革によって民主主義をさらに徹底する。そのためにもITが重要。なので、政府初のCTOを任命。
 さすがに、Government 2.0とはいわない代わりに、
遅れていた政府のありかたを変革し、21世紀型政府にする、と明言しています。

 米国の競争力強化には、9点あげられています:

・米国のビジネスの海外進出の促進
・科学技術研究への投資
・大学発の研究のさらなる強化
・研究開発優遇税制の恒久化
・競争的な市場の確保(大企業支配を破壊しベンチャーが参入しやすく消費者の利益になるような公正な市場を整備)
・海外における米国の知財の保護強化
・国内における米国の知財の保護強化
・特許制度改革(特許の質の向上のため市民レビュー等を導入)
・政治的判断でなく科学的に一貫性ある根拠を備えた政策決定(ホワイトハウス)の復活

最後の「復活」という言葉に、ブッシュ政権がめちゃくちゃにしてくれた意志決定プロセスを合理的、科学的なものにすれば、米国の競争力は復活する、という痛烈な前政権批判が込められているように思います。

他のポイントは、かつての米国型科学技術研究、産業化の強みをさらに強化しつつ、知財制度で国益を保護する方針を明確に打ち出しています。

続く「教育」では、数学、科学教育を強化し、技術革新を担える次世代の育成をうたっています。これは中国政府とならんで、収入面や人材登用を含めて科学技術力の底上げに本気で取り組む方針を明言したものといえましょう。

国家の危急の政治問題(医療経済、温暖化、緊急災害テロ対策、等)についても、科学技術、ベンチャーイノベーションの力を駆使して解決に取り組むことが末尾で宣言されています。

さて、日本の政権交代では、どのような、具体的な「実装」を約束した方針を具体的に提示してくれるでしょうか。





http://japan.cnet.com/blog/kurosaka/2009/01/21/entry_27019617/