論点の成立; 論点を外さないためには
昨日の日記にこう書きました。
論点の把握の具体的な方法とか、引用しつつ書いてみたいと思います。
論点をはずさないためのチェックポイントとして次の4つが指摘されています(この4つしかない):
(1)相手に「意思判断を求める」というスタンスで話をしているか?
さもないと、一方的な「愚痴/説教」「講義/指導」になっている。
※→クライアントを相手にこんなことしちゃいけないですね。
(2)相手の要求をきちんと理解しているか?
(3)相手の意思判断項目がきちんと洗い出せているか?
さもないと、横の論理が展開できていない。(論理的思考力、デジタル的スキル)
(4)その判断項目について相手は既に確固たる答えを持っていはしないか?
さもないと、当たり前のことを言っているだけ。
これらを全部クリアしたものが論点として成立。
(1)、(2)、(4)、と、4つのうち3つまでがアナログ的スキル、と著者は言います。
しかし、(3)がきわめて重要。きっちりと論理に基づいたフレームワークで話をしなければ、話すたびに内容がかわるかもしれない。
筋の通った論理的な話であればいつ誰が聞いても答えは同じ。
それに対して、自分の過去の経験や今までの風習などをもとに感覚的に判断すると、論点をはずしてしまうことがある。
そして、論点を外さないための対策:
(1)、(2)への対策:目的をきちんと理解する。
(3)への対策:横の論理(網羅性)の構築力を磨く。
(4)への対策:相手の知識•経験レベルを把握する。
最後の対策はちょっとタカビーにきこえるかもしれません。しかし、相手に敬意を払い、相手の予備知識や発想力をみくびらないこと、と言い換えれば、正反対の仮定を薦めていることがわかります。
少々ねちこい論理で、トートロジー的(同義反復的)な感じもうけますが、基本的に正しい論理だと思います。
また、(1)、(2)、(4)、がアナログ的スキルとは必ずしも思えません。
(1)のためには、デジタル式に頭を切り替え、判断、決意することが必要です。
(2)のためには、相手に対する調査、インタビューを含むコミュニケーションが必要。
(4)のためには、細かくインタビューするわけには通常いかないので、確かに洞察力、常識のようなものが必要となります。しかし、相手の反応を注意深くリアルタイムで観察し、聞き、必要なら仮説を修正し、コミュニケーションをとり続けようとすることで、調査に代えることができそうな気がします。
とはいうものの、優秀で専門分野の違う人などが相手のときなど、(4)を適切に遂行するのはかなり困難をともなうことがあります。
論点のすれ違いが最も起こりやすいパターンの1つとして肝に銘じるべきでしょう。
(3)についてですが、一度に多数の要素を並列に並べる記憶空間、容量のようなものが人によってかなり違うことへの配慮が必要、という経験知があります。オーケストラの30段のスコアを、1時間分の演奏の量だけ丸ごと頭に入れて、それを脳内から「読み出し」ながら議論するようなスキルを駆使し、粒度の揃い方、冗長さ、漏れを感じ取るセンスなどをフルに駆使するうちに夢中になって議論してしまったとき。これが、国際学会の場で世界的な研究者と丁々発止の議論をしているときなら良いですが、通常は、相手との対等なコミュニケーションの中でこれをやってはまずい。
論理を網羅する負担を自分の側に抱え込み、事前にしっかり準備して、誠実に相手に接することが必要。
会社内でここまでやるかについては議論の余地はあるでしょう。
しかし、「上に行く」人々の多くはやっているように見えます。
トップになっても、おそらくやり続けていることでしょう。