nomuran's diary

野村直之のはてな日記(後継ブログ)です

|[伝達] 論点について 〜「mixi規約改定問題」のフォロー

mixiから引っ越してくる前日、次の日記を書きました。
2008-03-06 mixi規約改定問題 18条&付則問題の論点

この際に、「そうそう。論点とは何か、について優れた本があったな。誰かに貸していたな。」と思い出したのですが、昨日、参照することができました。これです:

コンサルタントの診断、分析、提案、等で要求されるコミュニケーションを論理的に設計、改善する方法をきれいに整理しています。
その一貫として論点の定義と、その適切な使い方が語られます。

まず、検討段階で、適切に「考える」ための2つのスキルと5つのステップの中で「論点」が登場。

「仮説検証力で相手の疑問に答える5つの検討ステップ」:
(1)目的の把握 :目的を理解、共有することで相手の意にかなった解決への歩みが始まる
(2)論点の精査 :相手がどういうポイントに疑問をもっているか精査する
(3)仮説の構築 :相手の疑問点に対して仮の回答を作る
(4)仮説の検証 :相手の理解、意見との相違に対し、証拠で決着を付ける
(5)示唆の抽出 :検証の結果をもとに、相手の疑問についてどんな意味をもつか示唆する
         (これがないと相手はどう応じて、何をしてよいかわからない)

これらのステップを通じて「提案」を行うための、具体的な技術(チャート化など)はこの書籍に任せて、いくつか印象的だったフレーズを引用してみます:

論理的とは、話がちゃんとつながっていること。
それには、縦の論理(直列)か横の論理(並列)のどちらかしかない。
人が納得しない場合の反応は、「本当にそうなの?」「それだけなの?」のどちらかしかない。

「本当にそうなの?」は縦の論理が弱い。つまり因果関係が説明できていない。
「それだけなの?」は横の論理が弱い。つまり、漏れやダブりがある。

論理的思考にあたっては、「広く細かい人」(視点が広くかつ細かい部分も見えている人)を目指そう。プレイングマネージャの視点で。
そうなれば、すべてのタイプの人に話を理解させられる。

★論理的か否かは相手が決める。

最後のポイントについては、コンサル的、かもしれません。あるレベルでは客観的な真理があるはず(例:測定対象に影響与えずに観測は不可能と主張したハイゼンベルグの不確定原理のようなメタレベルのものも含め)、という大仮説をもつ自然科学では、双方が常に歩み寄り、共通の論理を探る、という立場と思われますから。この意味で私は自戒が必要か。

とはいえ、続く数ページには、科学に近い考え方が示されているような気がします:

「縦の論理を構築する」
縦の論理がつながっている状態とは、「誰がみても」AならばB、が成り立っていること。
縦の論理がつながらない原因は次の3つ:
(1)経験や思い込みで、口には出さない勝手な前提条件を頭の中に置いている。
(2)質の違うものを十把一絡げに議論している。
(3)たまたまであるものを、必ずそうだ、と言っている。
これら3つに対処すれば、「本当にそうなの?」は封じ込められる。

「横の論理を構築する」
横の論理がつながっている状態とは、「全体が正しく定義されていて、漏れもダブりもない」こと。

言葉の次元がそろった段階で、「全体」を考える。「全体」を考えずして「漏れ」は議論できない。
フレームワーク」は「全体」を考えるための便利な既成ツールであるが、状況にあったものを使用することが大切。」
- - - -
以上の縦横の論理思考力は、仮説検証力や問題解決力などすべての基礎となる、最重要スキルである。

上の方に引用した、仮説検証型思考の5つのステップの1つ1つについて、それらを5、6のポイントに分解した丁寧な説明が続きます。
その2番目に出てくる「論点を把握する」。

ここでも、やはりコンサルタントとして見事な仕事ができる、という本書の大目標を前提に、「目的」と関連付けた議論が行われます。

- - - - まずは「相手の要望」の理解が必要だ。相手が聞きたくない、知りたくないことをいくら話しても論点にならない。
次に「相手に意思判断を求める」というスタンスで臨むことが大事だ。
- - - - 大事なのは、「相手がどういう考え方で意思判断をするのか」という判断項目の全体像を知ることである。
- - - - 判断項目を知ったあとには、「相手がまだ確固たる答えを持っていない部分」を探し出すことが重要だ。相手がすでに知っていることを言っても、それが相手になんの影響力も持たないのは言うまでもない。

以上を背景に、「論点とは」の定義がなされます。

「相手が意思判断を行う際に検討する項目のなかで、まだ確固たる答えを持っていないがために、検討を行えば、意思判断の結果に違いを生じる可能性のある項目」

略して:
「相手の意思判断に影響をおよぼす判断項目」

 
 さて、面白いので、この後も、論点の把握の具体的な方法とか、引用しつつ書いてみたいと思います。
本日分を締めくくるにあたって、2008-03-06 mixi規約改定問題 18条&付則問題の論点
で、なぜ「論点」という言葉を私が使ったか、考えてみました。

 この日記の読者様、特に、現在Mixiに書き込みをしておられる会員の方が「相手」であり、その「相手」の「意思判断に影響をおよぼす」かもしれない判断項目を、私なりに整理した、ということになります。

 注意を払って、論理、客観性を追求したつもりではあります。しかし、やはり、問題提起とともに、このまま4/1に新規約が採用されるならば、Mixiに書き込みするのはやめませんか?という暗黙の提案をしていたのですね、私は。