「RSSリーダーがフツーの人に普及しなかった訳 」から
RSSリーダーがフツーの人に普及しなかった訳
http://d.hatena.ne.jp/core/20080219/1203426866
RSSリーダーがフツーの人に普及しなかった訳 その2:
http://d.hatena.ne.jp/core/20080220/1203447152
先進ユーザー層向けにリリースされたサービスを、フツーのユーザーが使うことは無い。
RSSリーダーもソーシャルブックマークも、ネット先進ユーザー層向けのものだ。
俺の周りにいるネットに疎い人達がそれらのサービスを使っている姿がこれっぽちも想像できない。
使う必要性が無いし、使えないと思う。
事実、彼らに使い方を手取り足取り教えても、さっぱり使えるようにならない。
この壁は大きい。
キャズムなんて超えない。
- - - - - 情報収集に積極的な人なんて、ごく一部ってことではないでしょうか。
1995-6年頃、某社中央研究所内で私は、「一般の人が検索なんて日常的にやりたいはずはない。何かしていたら、それに関連のある、次に欲しくなるものが勝手に出てくるようなインタフェースやサービスが必要だ。」と論陣をはりました。
その後Googleが出現し、結構長い間、「あの議論については負けを認めざるをえない」と思っていたような気がします。しかし、そろそろ逆転、というかより普通の人向けの、TVを見てときどきDVDをレンタルしている人向けのインタフェースに、ネットのインフラが近づくべき時が本当に到来しつつあるのかもしれない、と思うことがあります。
ところがところが、一見、フレンドリーでいたれりつくせりの作り込みがなされたシステム、UIが良いかというと、
「余計なお世話です」
になってしまいがちだったりもします。
かつて、ビデオの予約ができない人のために、音声認識リモコンとか、数10ものメニューに分解して、ゆっくり、じっくり数分かけて1番組が予約できる
、という仕組みが「初心者層」「入門層」向けに売られていました。取説を読まずに使えたものは少なかった、ともききます。
そこへ、G-CODEという、UI研究者からしたら言語道断の「非人間的な」仕組みが登場。なにしろ、人間様に、新聞のTV欄の無意味な数字列を読み取って、その通りに入力させろ、というのです。でも、プライムタイムの2、3桁なら、誰でも1、2秒以下で予約が完了する、というシンプルさ、性能(スピード)で、他のライバル方式を蹴散らしていったのでした。
ライトなユーザーも使える奥行きの深いサービス :
考えてみるとネットの最も基本的なサービス「検索」ってとてもシンプル。
空白の検索窓に自分の欲するキーワードを数個打ち込むだけ。
長年ワープロに苦戦していた自分の父親でも今では軽々と使いこなしている。もちろん使い方は教えましたけどね。父親が興味のあるキーワードを2〜3個聞いて、それを目の前で打ち込んであげて、Enter。それだけ。たったそれだけの操作で目の前に世界がパーッと広がっていくと、ライトなユーザーにでも受け入れられやすい。
敷居は低いけれど、奥行きは深いサービス。これって素晴らしいと思う。
敷居は高いけど広まった例 :
じゃあ、SNSはどうだろうか。
複雑だ。
もはやこれは自分の父親には使いこなせないレベル。
敷居は高いけど広まるには、従来まったく無かったご利益、楽しさが必要で、SNSやニコ動にはそれがあった、ということなのでしょう。
ソーシャルブックマークは、両輪の1つ、「楽しさ」が欠けている、ということかもしれません。
元記事へのコメントから:
「pitworks 2008/02/20 10:43 現時点ではRSSは流行ってないと思うのですが,去年の暮辺りから私の周りではPCに詳しくない女の子がiGoogleでRSSを利用しはじめている方が増えてきています.友達のBlogやランチBlogのチェックに利用したいと使い方を聞かれる事が急に増えました.Blogをつけている女の子が増えているので,BlogをチェックするツールとしてRSSは便利なので,RSSの成長はこれからなのかな?と期待しております.小職は技術者の作るサービスは忘れた頃に思いも付かない現象で利用される様になる気がします^^;;;」
たしかに。
そもそもフィードのもととなったRSSの「チャネル」要素は、marimba社のpush技術あたりにもルーツがあります。つまり、ネットを受け身で楽しむ、TVのチャンネルのように、切り替えて、あとは待っていればいろいろ情報を送ってもらえる仕組みとして、10年ほど前に、考えられたものでした。
いちいちサイトにいかなくても更新をチラ見できればラクチンなはず。
それが困難とか、かえって面倒、というのは、RSSリーダの出来が悪い(そもそも専用アプリであること自体含め)、ということになりそうです。
仕組みを妙に洗練させず、また、ある種のAlertが欲しいフツーの人には、その目的に特化した専用ツールの下に埋め込んでRSSはどんどん使われていく、というシナリオに1票入れたくなりました。