nomuran's diary

野村直之のはてな日記(後継ブログ)です

1月はシェア博士に毎年のようにお会いしていた

1月は、BPMの父、W.A.シェア博士に毎年のようにお会いしていた時期があります。
それも、日本とドイツで間をおかずに2回、なんてこともありました。
東京では、彼のプロ同等のバリトンサックス演奏のジャズ・ライブ、トークショー
そしてもちろん大学教授らしい講演会を交えた年1度のイベント@フォーシーズンズ・ホテルにご招待いただいていたためでした。

今年は、元気なお姿をWebで拝見。

BPMは文化とテクノロジから理解しよう
今後はBPMとBIの連携が“キモ”〜BPMの父が語る
2008/01/23

http://www.atmarkit.co.jp/news/200801/23/scheer.html

彼の業績は、ワークフローの実践、応用研究をWeb上で見つけたのが最初でした。
すぐに、IDSシェアを生み出して20年のドイツITベンチャーの星であり、SAPの顧問(のちに日本の産総研・戦前の理研に相当するフラウンホーファ研理事)だったり、
Process World 提唱者だったり、本業はザールブリュッケン大教授で、自ら創設した経済情報学研究所 Institut fuer Wirtsschaftsinfomatik の所長だったり、
ということがわかり、共同研究の企画をもって、すぐに現地を訪問しました。

その後、世界最大のテクノロジー見本市ハノーバー・メッセの会場で、
2階建ての臨時ブース2階の会議室でワインと料理をいただきながら
(プレハブのブースにキッチンがあるのです!)、議論したことなども
懐かしく思い出します。


日本法人のT社長、非常に優秀なOコンサル本部長さんはお元気かな。



さて、上記記事ですが、BPMとBIの連携、といったとき、私としては
マッシュアップを想起します。硬いワークフローや定型的BPMよりも、
「あらかじめルールを決めておいて、イベントが起きたら自動的に
アクションを取る」というリアルタイム型に発展しつつある、という
主張にうなずくわけです。

このとき、イベントがどこからフィードされるかといえば、イベント管理APIから、
であります。そのデータを直接発生させるアプリはいろいろだし、
その大元となる情報源にいたっては、社内外のWeb空間のあちこちにある、
というわけ。おっと、これは私の設計思想でありビジョンでした。

イベント管理も必要だと強調する。従来はプロセス管理によって、プロセスが実行される前段階までの管理をBPMで行ってきた。しかし、リアルタイム型になると、「プロセスだけでなく、イベント実行後にも対応しなければならない」(シェアー博士)。

シェア博士、あるいは、IDSシェアがほぼ同様の方向性でいく可能性も高い、というか、マッシュアップの利便性にちゃんと言及しておられますね。得手不得手を踏まえ、組み合わせ、補完すべし、ことですね。
このページの「BPMが得意な分野とBIが得意な分野は対立せず、機能をうまく補完し合えるという」というキャプションがついた写真をみると、XMLコンソーシアムWeb 2.0部会こそ、BI部会、と名乗っても良いような気さえしてきます。

BIとBPMの連携により「利用頻度を調べることで、地域ごとの売り上げを簡単に比較したい場合や、頻度の多いプロセスを選び、頻度の多い順にプロセスを自動生成したりすることなどが可能になる。そして、最終的にはビジネス発展につなげることができるだろう

いやはや恐れ入りました。これこそ、buzz wordでない、本格的なエンタープライズ2.0 の姿そのものでしょう。これに近い、「高頻度プロセスのソーティングと、Pipesによる簡易マッシュアップで新プロセスの合成」をある程度実現できているのが、セールスフォース.comの本当の強さの秘密なのです。

宇陀社長と話していて、そのことに気づいたのですが、さすがシェア教授は、見事に理論志向のモデル化を背景に、上手に説明してくれます。

60歳代後半になって、この創造性の発揮振りと、ビジネス&ITトレンドの最先端を嗅ぎ分けて本質を抽出する能力には脱帽。いやいや、ぜひ見習いたいです。
そのためにも、ホルン演奏の腕前を、あと20年は、人前でお聞かせできるよう維持しなければならないのかな。なかなか道は険しいです。あっはっは。。