nomuran's diary

野村直之のはてな日記(後継ブログ)です

R.Schumann 24:「・・巨匠的な名人よりも総譜と交際しなさい。」

音楽で心得ておくべきこと 24

「もっと大きくなったら、巨匠的な名人よりも総譜と交際しなさい。」(R.シューマン)

 我々大人は、物理的には大きくなる必要ない、、というか、縦方向には大きくなれません(笑)。10歳、20歳、年を重ねるまで待てるほどのんびりもできないので、この「大きくなったら」は精神的成長、すなわち脳の高次機能、ソフトウェア、コンテンツ、これらを制御するマインドセット、といったあたりが十分成長し、「準備良し!」といえる段階になったら、という風に解釈しておきましょう。

 「巨匠的な名人」。シューマンがこう表現する時は、とても悪い意味、ニュアンスを込めています。何か骨のある原典、オリジナル作品そのものを自分で読み、使い(演奏し)、咀嚼することをサボって、誰かの安直な解釈に頼ろうとしても、役に立たないよ。オリジナルの概念、内容、表現を産み出した本人と対話しよう、というメッセージです。


 「本人」とは、作曲家であったり、画期的なソースの書き手だったり、時代を画する学術論文の作者だったり、産業上利益のあるアイディア(その一部は特許性有り)のクリエーターだったりします。現時点で亡くなっていることももちろん多いです。しかし、遺された作品としての総譜、論文、建築その他の設計図などなんらかのアイディアを表現したものがあれば、故人と【対話】し、学ぶことが可能。

 自ら高い問題意識をもち、疑問をもち(とくにWhy「なぜ?」の疑問)、自問自答していく気構えがあれば、たとえ相手が寡黙な作品であったとしても、そこから発せられる目に見えないメッセージが見え、聞き取ることができるはず。この前提があるから、「交際」という言葉さえも適切に使って良いのだ、と思います。

(野村直之@メタデータ