nomuran's diary

野村直之のはてな日記(後継ブログ)です

My Horn part1/3

..mixiから移行です:

標題の通り、3本のうちの1本目です。
せいぜい2,3ヶ月に1度、15分くらい音だしする程度
になってますが、一応主力の楽器。

Paxman 25A w/ New World Bell クランツ付き 
London Symphony向け1991記念モデル

という奴です。実際、London Symphonyのメンバーが前の所有者。
1995年にブルックナーを演奏したり、ドイツ演奏旅行など控えて、自身をスケールアップする必要に迫られて導入。結果は大成功でした。

Paxmanのdouble hornは何種類もありますが、25Aは、
dual boreという奴で、直管部分の太さが2種類異なる
設計です。F管が異様に太いため、空気抵抗感がBbとFで
殆ど変わらず、音色もよくつながります。

特にこの個体は、F管の音色が最高。音域によってタンギング
へのレスポンスが本当にBb並の部分とそうでないところが
少々まばらに分布していますが、in F記法で五線内の記譜
C, D付近が何の問題もなくF管が実用になり、艶やかで深み
のある響きになります。もちろん、その下の実音C以下は
完全にすべてF管でいけます。

とにかく、肺活量6600ccの私にはぴったりの楽器。

同じのを使っていて、皆様が映画音楽etc.で耳に馴染んで
おられる奏者は、上記の London Symphonyの
ホルン・セクションと、あと、San Francisco Symphony
の首席David Krehbiel。彼の音は、ハリウッドのSF映画
でことごとく輝かしい音を出しているので、大半の方が
耳に覚えがあるはずです。STTNG, STVGRもそう。

太く輝かしいgorgeousな音が欲しければ、Paxman 25Aは
最高の選択の1つであります。


ちなみに、ややironicalな話ですが、私は、F-Bbダブルを
開放Fにしておいて、親指を押しっぱなしにするのは音色上
良くない、という考え方です(無用の張力が金属にかかる)。

このやり方の奏者ほど、得てして95%以上Bbしか使わない。なので、
ふだん押しっぱなしにしている分、心理的にもマイナス。

どういうことかというと、、
親指を離すと「音をはずさないか」と異様に不安に陥り、ますますF管がまともに使えなくなる。そこで、低音域などBb管の音色が貧弱なだけでなく音程的にも不安定(高音から跳躍で降りてきたときなど許容範囲を大きく逸脱して上ずったりする)であるにも関わらず、そのような客観的判断が働かず、「怖いから」Bb管を使ってしまい、アマチュア的な演奏になってしまいがち。

Bb-F切り替えにしたことで、「よし、F管を選ぶぞ」と慎重かつ
冷静に判断してアタマの中のスイッチも切り替えるため、
結果的に、95%Bb管で吹いていた曲でも、経験上7〜80%に下がります。
この分、豊かな音色のF管で出す音の比率が高くなり、美しい音でフレーズを奏でることができるようになります。

調性に応じて純正律に近い音階を選ぶ際に、中音域は
適宜Bb / Fを使い分けます。音色が揃っている楽器は
こんな時、フィンガリングの自由度が高いので大助かりです。