nomuran's diary

野村直之のはてな日記(後継ブログ)です

”travel ontology” vs ”medical ontology”

日本語の世界で「オントロジー」という難解な響きはとても浸透しにくいものがあります。

標記をさきほどGoogle 検索で、「どっちが勝つ(多い)かな?」と思って比較したら、
日本語のページを検索、では、 5件 vs 75件。
後者が15倍というのは意外かもしれませんが、実用方面よりも、どうしても学問関係が多くなってしまう、という事情からはうなずけるものがあります。

昔、ドイツ語経由で、「オントロギー」と訳されていた時代には、哲学用語の「実在(主義)論」というものでした。近年のコンピュータサイエンス人工知能の文脈では、一般、汎用の知識処理が困難な中で、分野(domain)を限定し、部分的ながら実際に検証可能な身近な知識を、必要なだけ構造化して表現することによって実用を目指すアプローチ、といったところでしょうか。この意味で、私も貢献、寄稿した "WordNet", MIT Press 1998 のような成果物は典型的なオントロジーからはずれるようになりました。ドメインオントロジーではないけれど、抽象的な概念体系ではなく、いつでも新手法で検証可能な用に実在の単語を体系化した、という意味で、開発者としては、オントロジーであると主張できたわけでありますが。

Semantic Webで、「メタデータ」の構造、意味を定義する知識体系(メタデータインスタンス間の関係を定義するという役割でいえば「メタメタデータ」となります)としてオントロジーが注目されるようになって、かなりの年月がたちました。

web全体でGoogle検索かけると、

"medical ontology" の検索結果 約 58,700 件
"travel ontology" の検索結果 約 902 件

ということで、15倍を超えて、60数倍に差が広がります。
実用に近くて、「穴場」で、且つ、市場性も十分大きく、なにより、CGMに向いている (->*)、という意味で、事業家として現在注目すべきがどちらであるか、論をまたない、と言ってもよさそうに感じました。
 
KMの父の1人、Thomas Davenport博士曰く、「Rocket Scienceも集合知でやるのか? 宇宙飛行士が自分の命を、航空宇宙工学の知識も無い大衆の多数決で設計された宇宙船に委ねられるわけないでしょう?!」という最近のエピソードはわりと有名になりました。