nomuran's diary

野村直之のはてな日記(後継ブログ)です

「モバゲータウンがすごい理由」

nomuran72008-01-03

年末年始に丁寧に読んだ1つです。

DeNAの守安氏の市場予測、企画の凄さを中心に、ケータイ向けコンテンツ提供ビジネスの本質をよく描けていると思います。

・自身が時代の半歩先行く「のめりこんだユーザ」になってケータイを使いまくる 
 ※そしてそのために、当時定額制が無かったことによる「パケ死」なんかも甘んじて受ける。
・ライバルのサイトも徹底研究
 ※守安氏「会議中でもサイトを"鬼のように"みています」
・オリジナリティはもちろんだがそれ以上にニーズが大事
・さらに潜在ユーザが現れ、食いついてくるタイミングを読むことがもっと大事
・億単位のPVになっても課金代行が魅力的というほど課金の仕方は大事

この新書は、もしかするともともとは、ケータイ・コンテンツ業界全体を見渡すものとして企画され、途中でモバゲータウンにフォーカスするものになったのかもしれない、という印象を受けたほど、ケータイ業界にのめりこんで書かれていました。

ケータイ関連のサービスを企画する人はもちろん、PC向けサービスのビジネスモデル考案で行き詰まっている人にとっても必読書といっていいでしょう。


著者の石野さんの主張で大きく疑問を感じた1つは、PC向けとケータイ向けは区別され続ける、と断じていた点です。PDAフォンのような中途半端な機器はメジャーにならない、と。2007年5.23時点での断言です。

その後の変化は、やはりiPhoneの登場ですね。
iPhoneなら、PC向けサイトとケータイ向けサイトの壁をぶち壊してしまえます。
これは百聞は一見にしかず、かな。他のPDAのスペックと比べても画素数は少ないし、、やはりあの拡大縮小自由自在のインタフェースを触ってみないことには理解できないと思う。


この本に何度も出てくる、ドコモの夏野さんとは学会やW3Cの会合で何度も会っている顔見知りです。もしかして50年後の実用化か、と思われるホログラム投影のディスプレイの話をボストンで数年前にしていましたが、おそらくそれが「ケータイの未来」(ダイヤモンド社、2006)に書かれているのでしょう。(保証なし)

彼がiPhoneをどう思っているのか、是非聞いてみたくなりました。



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