nomuran's diary

野村直之のはてな日記(後継ブログ)です

アルファブックマーカーが真に機能するためには

アルファ・ブロガーという呼称は、友人の橋本大也さんも登場した同名の本が出る前から聞いていました。普通の人の数十倍パワフルに書きまくり、周囲へと多大な影響を与えるブログの書き手であり、下手なマスコミを上回る購読数、影響力を誇る、というニュアンスで共通理解されているかと思います。

今朝ほど、アルファブックマーカーという言葉を初めて目にしました。
おそらく、ソーシャルブックマークで、尋常ならざる数(と質)を公開し、周囲に影響を与えている存在、という意味かと理解しました。
パワフルぶりという点ではアルファ・ブロガと共通点があります。

しかし、直接メッセージ、言葉を発していない点で個人的に違和感を感じなくもありません。ブログでオリジナルの意見を発信することを「プッシュ」型と受け止められるけれど、ブックマークする、というのは、「プル」型か、何か「後で読もう(これのための優れたマッシュアップもありますね)」と保留する中間過程のような感じがするからです。
おそらく、それ以前に未処理だったブックマークを大量に読みこなして要約やコメントを毎日書きまくってくれれば、よりしっかりとアルファブックマーカーと認められるような気がします。

アルファブックマーカー・タイプ別分類CommentsAdd Starfuktommy
http://d.hatena.ne.jp/YOSIZO/20071228/1198859509

に照らしてみると、

2.論客型
3.コピーライター型

は該当しそうです。
これらのどちらにも前提となっているかもしれませんが、適切な要約をつけることで、ブックマーク参照者に付加価値を提供できることから、要約の的確さ、は個人的にはおさえておきたいと思います。

さもないと、特に、
1.速報型
の中で、その人の個人的興味が特段の鋭いセンス、最先端を感じ取るものではなかった場合に問題が生じるでしょう。自分でしっかり読みこなして価値付けや過去の重要記事、知識体系への紐付けが出来ていない場合、ノイズを撒き散らしているだけとか、世論をミスリードするような存在に堕してしまいかねないからです。

しっかりしたコメント、要約がついていれば、いつでも検証は容易。
それには時間、知的格闘のコストがかかる。

一見似たブックマーク・ページでも、謙虚な知的貢献のものと、「おれが興味もちかけたんだから重要に決まっている。君たち読みたまえ」という不遜そのもののものが混在している可能性があるやもしれん、と。

翻って、前向きな、次世代のソーシャルブックマークの発展形を考えてみます。
せっかくのソーシャルな仕組みなのだから、アンテナの優れた人の前工程の成果を検証して適切な要約を付与する中間工程の人が続き、さらに、それに基づいて関連リンクを付与する人が続き、そして、その意義や価値付けを後工程(これはブログかな)鋭くコメントする人が続く、というように、システムも運用もわかりやすく進化できたら良いなぁ。そうなったら、要約と、知的生産物を少しずつ加えていくソーシャル・ナレッジマネジメントの標準形態になるのかも。


ちなみに、10年前に米国で聞いた言葉、'alpha male' といえば、一方的に自分勝手な(伝統的な意味で男性的な、自己中心的な)指示を出して部下を手足として使い(実際には創意工夫をさせても本人はそれを認めず自分の手柄と思い込む)ごりごり押しまくって出世競争するタイプ(一将功成りて万骨枯る、のタイプ)というニュアンスを感じました。こういう悪いニュアンスもあるから、謙虚なアメリカ人の先駆的ブロガー達が自嘲的にアルファブロガーを自称したのか、と以前は感じていました。
でも、仮にそうだったとしても、もはやそんなニュアンスは無くなっている可能性が高いですね。

先行者でなくとも実力主義ですぐに追いつき追い越せる仕組みが発展すれば、この世界、さらに健全になるのかな。