nomuran's diary

野村直之のはてな日記(後継ブログ)です

R.Schumann 19: 「重要なあらゆる大家のすべての重要な作品を覚えて

音楽で心得ておくべきこと 19

「重要なあらゆる大家のすべての重要な作品を次第次第に覚えていかなければならない。いわゆる偉大な巨匠演奏家の、よく引き起こす拍手喝采を、誤解してはならない。芸術家の拍手は、大衆の拍手よりも貴重なものであって欲しい。(訳注:本当に感動したとき以外は拍手するな、の意味。)」

一見無茶な要求のようにも読めますが、「重要な」という限定が付いているのがミソですね。
私は、「重要」とか「貴重」とかの判断を読者、幼い子供に突きつけている点が画期的ではないかと思いました。

まだ親に依存しているような年齢の子供でも、非常にしっかりと大人びて振る舞うことがあります。
ただし、どうもそれには、非常に健全で、本当に大人を心から許し、敬意も払いつつ、虚心に接していたわったりもできる子供の場合と、
不安定な大人に対して緊張を強いられて心を閉ざし、硬直した作り笑いを浮かべつつ子供らしく振る舞う自由を剥奪された結果、一見大人びて見える子供の場合と、これら2通りに分かれるようです。

シューマンさんの場合、もちろん、前者の意味で、早熟ながら健康で優れた子供を相手にし、期待しているのだと思います。
その証拠に、「芸術家が本当にはわかっていない一般大衆の大人よりも、君たち若き芸術家の拍手の方が演奏者や作曲家にとって重要なものだ。愛想笑いを浮かべないのと同様、お義理の拍手なんか絶対しないで欲しい。」と切々と訴えているのですから。

多少、迷子になりかかっていても、上の真摯なメッセージが届いて、自発的、自立的に力強く成長、進化を始める子供も多数いると思います。大多数の人の親はこの程度には気まぐれで時には一貫性を欠いて子供を惑わすこともあるだろうから。そんな普通の家庭の子供に大しても、シューマンさんのようなメンターが書物の中から語りかけることで、立派な大人になれる可能性が増す。なんともすばらしいことだと思います。

ITへのマッピングですが、、そうですね。
オブジェクト指向設計で、1つの世界を構築する、というミッションを前に、大人になりきっていない人は大変な苦労をしたあげくに、ミッションを完遂できないのでは、という気がしています。成長、成熟した上で出直してみるのが最前の選択肢かもしれません。

あるいは、プロジェクトチームの中で分業しながら、少しずつ見よう見まねで責任ある大人になれるものかどうか。うーん、今はケースバイケースのような気がしています。程度が酷ければ、それを一気に挽回するために劇薬を飲む、、というか正攻法で一気に大人への道を選び直し、歩み直すしかないのかもしれません。その結果、天才的な業績をあげる人も出てくるでしょう。それで良いのだ、と思います。(微笑) (野村直之)