nomuran's diary

野村直之のはてな日記(後継ブログ)です

株式市場の逃げ足の非論理性

 本日、この日記で言及した、亡父が40年お世話になった三井鉱山の株価が、8%以上と、大幅に急落しました。
東証の地合も悪いですが、43年ぶりの10連敗のあとの11連敗という状況で、さすがに一般の株は下げ渋っています。

 なのに何故? と思って少し調べたら、北米の石炭価格下落の情報で米国の石炭会社の株価が下がったという情報をつかんだ機関投資家が、我先に、と売りに走ったらしいことがわかりました。

 この行動のどこが非論理的か、先日の日記に答があります。はい、昔と違って、三井鉱山は石炭を売る会社ではなく、買う会社に完全に変わっているからです。石炭を原料に製造し、製鉄などに使われるコークスの相場は上がっており、今後も値上げ交渉をしている状況。予算比では確実に高く売れることが確定しているところへ、原料である石炭の値下がりですから、三井鉱山の利益は増大することがほぼ確定したニュースだったわけです。

 もしかすると、社名変更が終わっていて、「日本コークス工業」という社名だったら株価は急騰したのかもしれません。

 あるいは、美人投票と呼ばれる株式市場で、「そそっかしく大量売りするやつが出てきそうだからその前に空売りすれば儲かる」と考えた人が大多数だったのかもしれません。

 ともあれ、投資家で技術の中身、本当の技術力がわかっている人はほとんどいない、と言われるのに加え、ビジネスの基本中の基本「安く買って高く売る(投資も全く同じですね)」というごく単純な算数の式に、客観的な数字をあてはめて素直に株を売買すれば良いのではないらしい、という教訓を学びました。論理より感情、なのでしょうか。オーバーシュートやバブルの発生も、心理学で説明される、というのはわかります。

 最近の経済学は、経済物理学といった、より自然科学に近づく方向性と、心理学、それも脳科学とは遠い分野の心理学に近づく面と両極化している印象をもっていましたが、、どうやらどちらも必要らしい、と実感しています。