nomuran's diary

野村直之のはてな日記(後継ブログ)です

R.Schumann 14: 「みせかけの売り物・・ 技巧は、より高い、新しい

音楽で心得ておくべきこと 14

「みせかけの売り物は、時代とともにみな変わってしまう。技巧は、より高い、新しい目標に使うときだけ価値がある。」
(R.シューマン)

 これも、いまでも通用するし、他の広範な分野でも「どきっ」とさせる位のメッセージ性を備えていますね。作曲家、ピアニストであっただけでなく、美しく雄弁なドイツ語で文筆、評論家としてもプロだったシューマンさんの面目躍如だと思います。

 かつて、KMナレッジマネジメント・ブームの時代に、イントラネット向けCMS(Contents Management System)つけただけのような「このソフトさえ買えばKMは実現/達成できます!」という大嘘、、有効どころか有害な言説を振りまいて商売していた会社が沢山ありました。その尻馬にのった経営コンサルタントには、オリジナリティ欠如のために没落しちゃった人もいます。※パクりは、いついかなる状況でも論外なのだ。。

 ここ1,2年、うまく商売に成功はしたけれど、次の方向性を見失っている「イントラネット2.0(社内でRSSフィードやります、というだけの実態)」など、いわゆる、「流行りのキーワードを"消費"しながら稼ぐ」ビジネスは、まさに、「みせかけの売り物」に該当するでしょう。日銭をそのように稼ぐことを全面否定はしませんが、その一方でちゃんと、"Web2.0 for Enterprise" の本質について考えておく、などしなければなりません。詐欺っぽいビジネスでなく、永続性の高い、顧客との関係を築きたいのであれば。

 後半の、「技巧は、より高い、新しい目標に使うときだけ価値がある」はなかなか慎重かつ正確を期したメッセージだと思います。凄いテクニックの音楽家を否定するのでなく、彼らが芸術的高みを極めるため、音楽性を120%発露させるためにこそ、高度な技術を使うべき、という、ことでありましょう。この反対になっちゃうと、「外連味のある演奏」とか「気をてらった演出」とか評されてしまいます。

 ITの商品、ソフトウェアパッケージもサービスについても、高度なテクノロジーアルゴリズムetc.)を単に取り入れた事実を誇る(ニューロ・ファジー洗濯機なんて恥ずかしい商品が昔ありましたね)のではなく、それらが、ニーズにぴったりマッチして、本来機能、基本機能と相乗効果を上げていることこそ誇るべきでありましょう。この意味でも、シューマンの言葉は、IT分野の商品開発にも重大な示唆を与えてくれていると思います。

 技巧=技術とは限らないのですが。。 逆に、ビジネスアイディアが、ひねり過ぎの「技巧」で、せっかくの技術を素直に開花させられなかった事例をあげることもできそうです。また、好例をみつけたら、コメント追記なりしてみたいと思います。

(野村直之@メタデータ